いつもモザイクの販売や大会の実施でお世話になっているマルナカストアーさんが動画を上げてくださいました。家の庭でBBQをしながらの親子対戦だそうです。楽しそうですね。
先手は右側の水色（息子さん）、後手は左側の茶色（お父さん）。序盤はセオリー通り中心から自分の陣地を広げて行きます。かなり早い段階で画面向かって右上が水色（棋譜の黒）、左下が茶色（棋譜の赤）という住み分けができてしまいました。このように序盤でお互いが自陣を固めてしまう展開は、モザイクではよくあります。こうした場合、形勢が不利な側が均衡を崩すために相手の陣地に攻め込むのがふつうですが、今回の試合では中盤までほぼ互角の形勢だったため、互いに守りを固めることで波乱の起こりにくい展開になりました。
ひとつこの試合で面白いのは、両者ともまん中を残して８つのコマで回りを囲む「蟻地獄」（いま名付けました。笑）の形を作っていることです。この形は、試合が進めば進むほど大量ボーナスのチャンスが広がります。ただ、それは取れるボーナスを後回しにしているだけなので、それだけでは有利な作戦というわけではありません。この作戦が活きて来るのは、その蟻地獄の中心に相手がコマを置かざるを得ない状況に追い込んだ時です。
この点で黒は［黒19］と自分で蟻地獄の中心にコマを置いてしまいましたが、赤は最後までそこを空けておいて、相手が［黒55］と置かざるを得なくしました（お父さん、容赦ない。笑）。相手が作った蟻地獄の底にコマを打たされるのが痛いのは、自分の一手で相手にたくさんのボーナスを与えてしまうことだけではありません。ボーナスが解決したあとの次の一手を打つ権利まで相手に与えてしまうことです。これはモザイクに強くなるための基本ですが、あとでも取れるボーナスはあわてて取らず、もっと有効な手がないかを常に考えましょう。
このゲームは接戦の末、先手の黒がコマ差４個で勝ちました。（最後に負けた赤もボーナスが１つ置けましたから、本当は３個差だったはずです。）ところが、棋譜を起こしてみると間違いが見つかりました！ 終盤［黒55］の一手で、赤と黒を合わせて23個もの大量ボーナスが発生しましたが、そのあと［赤56］と打つべき順番を抜かして、［黒57］と打ってしまったのです。大量ボーナスのあとの順番間違いは、モザイクではよくあることなので注意しましょう。
もしもここで順番を間違えずに［赤56］と打っていたらどうなったでしょう？ それを試してみたのが棋譜の右上の図です。なんと頂点の７段目に［赤58］と置いて、赤がコマ差１個で勝ちになりました。でも順番間違いも試合の一部。今回のこの試合の結果が黒の勝ちであることに変わりありません！
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