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「モザイク」のハンデについて

囲碁や将棋と同じく完全情報ゲームであるモザイクは、ルールが簡単である一方、強くなるのは難しい実力のゲームです。このため初心者が上級者と対戦してもまったく歯が立たないという状況がよく起こります。長い歴史のある囲碁や将棋では、実力差のあるプレイヤー間のハンデのつけ方も確立していますが、モザイクにはまだハンデ戦のやり方について明確な決まりがありませんでした。この記事は、モザイクの公式なハンデ戦について説明する初めての記事になります。
従来もミニ大会などで「置き石」によるハンデを採用したことがありました。ハンデをもらう側が初手の前に1~3個くらいのコマを置いてからゲームを始めるというものです。しかし、モザイクは最初の数手がきわめて重要なゲームですから、中級者以上の実力があるプレイヤー同士だと、「置き石」ハンデの威力が大き過ぎて、ゲームバランスが崩れてしまうという問題がありました。
先日ボードゲームカフェ「ふらっと-flat」のなーべ店長さんとモザイクを差していた時、店長の思い付きで新しいハンデの付け方について、とてもいいアイデアが出ました。とても簡単な方法です。最初にハンデをもらう側が相手に自分のコマを何個か渡すのです。例えばハンデをもらう側が2個のコマを相手に渡すと、それぞれの持ちコマ数は68個と72個になります。最小のハンデは1個のコマを渡した場合で、この時の持ちコマは69:71になります。
モザイクは先に自分のコマを置き切ったプレイヤーが勝つゲームですから、ハンデを与えた側のプレイヤーは相手から受け取ったコマを含めて先に置き切らなくてはなりません。ハンデのコマは着手する時に置けるだけで、ボーナスとして積み上がることはありません。またハンデのコマはあくまでそのコマ本来の色の性能を持っているので、置き方によっては相手のボーナスを助けたり、自分のボーナスを妨害することもあります。その点は多少の戦略が必要になります。
先手が有利であることが経験的に分かっている囲碁では、同等の実力者同士が対戦する場合、後手が6目半の「コミ」(得点調整)をもらうことがルールとして取り決められています。長い歴史の中でそのくらいの得点調整が妥当であると分かっているからです。まだ歴史の浅いモザイクでは、何個のコマを渡すと先手・後手の有利不利が調整されるのか分かっていません。それは今後試合の実績が積み重なる中で決めて行きたいところです。
この方式を「預け石(あずけいし)」と呼ぶことにしたいと思います。預け石は先手・後手の有利不利を調整するためと、実力差があるプレイヤー同士のハンデとして使います。コミまたはハンデとしての預け石を何個にするかはこれからの課題ですが、2023年のモザイク名人戦では実験的に以下のような方式を採用します。

■2023年モザイク名人戦での採用について

2023年10月7日に開催される「第4回全日本モザイク名人決定戦」では、一般の部および小中学生の部で、以下のようにハンデを設定します。

(1)一般の部
一般の部では、スイスドロー方式による予選とトーナメント方式による決勝を行います。このうち決勝戦の方は先手・後手を交替して2回戦行うので、特にハンデは設けません。予選の方は1回戦のみなので、後手を取った方が相手に1個の「預け石」を渡すものとします。
先手・後手の決定は、毎試合ジャンケンで決めることとします。ジャンケンで勝った人が先手・後手の好きな方を取り、後手になった人が1個の預け石をすることになります。

(2)小中学生の部
小中学生の部では、総当たり戦で同じ相手とは1回戦のみの対戦になります。先手・後手の決定は、従来どおり学年が低いプレイヤーが先手、同学年の場合はジャンケンで勝った方が先手を取ります。
この他に今回の大会では学齢による「預け石」のハンデを導入します。小学低学年(1~3年生)、小学高学年(4~6年生)、中学生という3段階のランクに分け、ランクの違うプレイヤーが対戦する場合は以下のとおり預け石をします。
・低学年vs高学年または高学年vs中学生の試合では、預け石2個
・低学年vs中学生の試合では、預け石3個
・同ランク同士の試合では、預け石無し

試合結果の記録では、従来どおり「勝敗」「先手・後手」「負けた側の残りコマ数」を記入してもらいます。その結果を踏まえてより精度の高いハンデ設定につなげて行きたいと思いますので、よろしくお願いします。

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