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第2回モザイク名人戦の動画と棋譜を公開!

 去る8月1日に多治見市のヤマカまなびパークで開催された「第2回全日本モザイク名人決定戦」の動画と棋譜を公開します。小学生の部と一般の部の決勝戦の模様です。その他にモザイク・クオの部もあったのですが、こちらは動画を撮り損ねてしまいました(反省)。また撮った動画が縦長のアングルだったので、YouTubeで再生すると左右が黒くなっていてちょっと見栄えが悪いです(こちらも反省)。大会の総合順位についてはこちらの記事をご覧ください。

■小学生の部の決勝戦


 第2回モザイク名人戦(小学生の部)決勝戦の結果です。先手黒(タイルは白)は真子さん、後手赤(タイルは水色)はたまごさんさん(以下「たまごさん」^^)です。真子さんは昨年の優勝者しゅんさんの妹さん、たまごさんは一般の部の決勝戦に進出したモザイク・ディ・ブリタニアさんの娘さんです。
 最初の4手は中立ゴマをはさんで対角線上に並びました。この形はお互いの領地が入り乱れる乱打戦になりやすいです。よく初心者同士の対戦では、それぞれが自分の領地を広げることにだけ専念して、盤面が2色にはっきり分かれてしまうことがあります。今回、小学生の部は参加者4名と少なかったのですが、この決勝戦だけでなく、各試合ともお互いの領地を侵食し合う激しい展開になっていました。そういう意味でもとてもレベルが上がっているのを感じました。
 この決勝戦については、さらに特筆すべき点があります。手番数がとても多いのです。決着が着くまでに85手かかっています。モザイクというゲームは、囲碁やオセロと違って、展開によって決着までの手番数が大きく異なって来ます。お互いに相手のボーナスを阻止する展開になると、手番数も多くなります。通常は60数手で決着が着くことが多いなかで、85手の決着はなかなか見られない試合でした。(もしかしたらもう少し目先のボーナスを狙っても良かったかも知れません。^^)
 もう一つこの試合で感心した点があります。モザイクでは、放っておけば次回相手が打ちそうな場所が自分にとっても有利な場所であれば、そこに打つのが定石だと思います。いま打たなければ相手に打たれてしまうからです。その典型的なのが四角形が出来た時に2色が2対2で見合った時です。この試合では、そうした場合には両者ともすかさずその上に打つプレイが多く見られました。一般的に2対2の四角形が出来た時にその上にコマを打つのは有利なことが多いのです。これは覚えておいていただきたい点です。(さらに上級者同士になると、相手の手番に2対2の四角形を作らないような打ち方をするようになります。)
 ひとつ残念なところがあります。先手の真子さんの[39]は相手にボーナスを与える手で、これはなかなか深みのある妙手だったと思いますが、ボーナスを置いた後、後手のたまごさんが[40]を置く前に先手の真子さんが[41]を置いてしまい、そのことを両者が気付かなかった点です。つまり1手番抜かされてしまったのです。これはモザイクでは起こりやすいミスですが、ビデオに撮っていたので気付きました。今回は小学生の部でも対局時計を導入しましたが、これ以外に手番を示すターンマーカーを導入する必要があるかも知れません。
 試合は11コマ差で真子さんが勝ちましたが、もしも幻の[40]が打たれていたら、勝負の行方はどうなっていたか、もっと接戦になっていたと思います。

■一般の部の決勝戦


 第2回モザイク名人戦(一般の部)決勝戦の結果です。先手黒(タイルは緑)は名人位ホルダーのペーさん、後手赤(タイルは茶色)は昨年準優勝だったモザイク・ディ・ブリタニアさん。奇しくも昨年とまったく同じ顔合わせの対戦となりました。
 以前にも同じことを書いた気がしますが、実力者同士の対戦に適切な解説をするのは難しいです。最近は将棋や囲碁も人間よりもAIの方が強くなってしまい、名人の指す手もAIが出す評価値の方が信頼されるようになっているようです。モザイクはまだAIで解析されていませんが、仮に強いモザイクソフトがあったとしたら、一手ごとの評価点を付けてくれるはずです。
 ここでは解説者がAIになったつもりで、試合中気付いた妙手・悪手を中心に説明します。(ホンモノのAIが現れた時、この評価が正しかったか確認できるはずです。^^)今回の試合は、先手の打ち方を後手が点対称になぞって行くいわばマネ碁の形で始まりました。が、囲碁と違い立体的に積み上がるモザイクではマネ碁はすぐに行き詰まります。今回は後手の14手目で両者の戦略は別れました。この[14] が良かったのか悪かったのかは分かりません。
 ただ、その次の先手の[15]と[17]は悪手だったような気がします。その上にすかさず[16]、[18]と置かれ、この2つのコマが殺されてしまったように見えるからです。この時点で、今回は後手のブリタニアさん有利かと思いました。
 ところがこの後、後手が[20]で右下の地を固めた後の先手[21]が妙手でした。相手に1個ボーナスを与える手ですが、これが中央進出の足掛かりとなります。これに対して後手が[22]と相手ゴマを分断したのも良かったと思います。
 ここまではまだ後手が少し形勢有利に見えますが、[24]に少し無理がありました。相手のボーナスを阻止する手ですが、すぐに[25]で上を取られ、結果的に死にゴマになってしまっています。むしろ[20、21、22、23]の四角形の上に打った方が後につながったのではないでしょうか。(実際にそれでシミュレーションしてみると赤の逆転までありそうでした。)
 この試合でもうひとつ面白いのは、中盤まで空いていた[39]が置かれた場所です。このように「蟻地獄」のように盆地型の地形が出来ることはよくあります。お互いが盆地の底に先に打つと不利になると思うからです。ところがこれもシミュレーションしてみると、黒が早い時点でここに打っていればもっと大差で勝てていたようだということが分かりました。では赤が打っていれば赤が勝てたかというと、逆にもっと差がついて負けていたようなのです。一見、赤の方がボーナスのコマ得をして有利に見えますが、それは間違いのようです。このへんはもっと研究が必要なところです。(将来のAIには鼻で笑われてしまいそうですが…)
 もうひとつ大事な発見がありました。終盤、相手より余裕手のありそうな後手が[50]、[52]と打ったのは、単純に悪手ではないかと感じたのですが、これもシミュレーションしてみると、先に右側の自陣を固めて行った場合と結果的にはあまり変わらないことが分かりました。このへんも囲碁でいうヨセの研究のようなものが必要そうです。
 今回の試合は、先手が3コマ差で逃げ切るという非常な接戦でした。それだけにほんの一手の違いで勝負がどちらに転んだか分からない名勝負だったと思います。

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